この記事では、
「法人のお客様は商品を購入する時、どうやって意思決定しているんだろう」
そんなふうに思っている法人営業担当者に向けた記事です。
外資系の大手IT企業を含め、法人営業に20年以上携わり、高いを成果を上げてきた私が思うお客様の意思決定プロセスの概要をお教えしましょう。
1.法人営業では常識、お客様の意思決定プロセスを理解する
お客様の意思決定プロセスを理解することは、法人営業で高い成果を出す上で、とても重要なことです。
あなたは普段からどのくらい意識しているでしょうか?
意思決定プロセスを理解しているのと、いないのでは成果の出方が全く違います。
意思決定プロセスを理解し、その進捗状況を常に確認し、それに沿って、必要なアクションが取れれば、お客様も安心してあなたに相談ができます。
しかし、これがわからずに闇雲に営業をかければ、迷惑がられるだけの存在になってしまいますが、意外に理解していない営業が多いのも事実です。
私は、意思決定プロセス全体をイメージし、そしてそれをお客様と共有し、お客様と一緒にお客様のプロジェクトをサポートすることこそが、営業の成果を高める1つのポイントだと考えています。
2.企業内における簡単な意思決定プロセスの例
意思決定プロセスについて、身近なものを参考に考えてみたいと思います。
例えば、自分が勤めている会社のチームで、お客様にこだわりのプレゼンテーションを見せるために、高精細のプロジェクターを購入しようとします。
値段は50万円です。
さて、この金額の商品を購入しようとした場合、部内のだれが決済できるでしょうか?係長ですか、課長ですか、それとも部長でしょうか?
ここでは、仮に部長の決済権限が50万円あるとしましょう。
起案者であるあなたは、直接部長から承認を取りに行くでしょうか?普通はいけませんよね?もし、それをしたら、あなたの上長である係長、課長の機嫌を損ねてしまうからです。
ではどうするかと言うと、まず直接の冗長である係長に相談して、OKをもらいます。次に課長に相談してOKをもらいます。そして、やっと部長と言う形で順番に承認を取っていくことになります。
これを企業における意思決定プロセスと捉えます。
3.実際の意思決定プロセスは複雑
さて、先ほどは、担当者→係長→課長→部長(最終承認)と言うシンプルな例を説明しました。実際に私が販売していた商品はもっと高額商品でしたので、多くの人が関わっており、意思決定プロセスはもっと、複雑なものでした。
実際には担当者単独で動くことはなく、チームで検討して、承認を取るというプロセスを取るところがほとんです。
例えば、私の場合、企業向けのシステムを販売していましたので、システムを利用する人数が多いことから、意思決定プロセスを組織横断的に捉え、適切なアプローチをすることが重要でした。
ここでまた簡単な例を説明します。
会計システムの販売をしたいとします。値段は1,000万円です。最終承認は役員会とします。
関わる組織は、情報システム部、経理部など多岐に渡るのが一般的です。
ここで重要なことは、このシステムの導入を決めるためには、どのような要素、つまり観点から会社が評価しなければいけないのか、と言う点です。
まず、経理部門ですが、経理業務を行うための機能が網羅されているか、導入をすることで業務効率が向上するかなど、投資する金額が妥当かなどです。
一方、IT部門は、システムは会社のIT基準に合致しているか、セキュリティー上問題は発生しないか、他システムとの連携に問題は発生しないかなど、IT目線で評価をします。
つまり、会計システムを導入するためには、経理部門、IT部門両部門から賛同を得る必要があることがわかります。
意思決定プロセスは、以下の通り、起案者は、2つの組織に宿題を投げ、それぞれの部門で評価をしてもらい、そこでOKを出してもらう必要があります。
また、投資金額によりますが、通常は各組織において、システムを評価してもらうため、担当者だけじゃなくチームを作って評価を進めます。
つまり、実際の意思決定プロセスを理解するためには、どの部署が関わっているか、その中のどのチームが関わっているかを明らかにする必要があります。
4.意思決定プロセスに関わる会議体を抑えることも重要
さて、企業の中における意思決定の仕組みが少しずつわかってきたところで、意思決定プロセスの仕組みをもう少し詳しく見ていきたいと思います。
上記の会計システムの例を続けて使って説明します。起案者は、購入案件を進めるために、社内のIT、経理のリソースを使って評価を進めますが、この時に抑えておかなければいけないのは、会議体です。
システムの評価は各部署にて行いますが、実際には各担当者がアサインされ行います。そして、各担当者が評価した結果を発表する会議があり、そこで様々なことが決まっていきます。
つまり、意思決定プロセスをさらに細かく捉えるためには、どのような会議をどのようなスケジュールで実施しているかを抑える必要があります。
一般的には、チームメンバーがアサインされた後、初回の会議では、チームメンバーの紹介、チームの目的、スケジュール、各タスクの確認などがなされます。
そして、週次、もしくは隔週で会議を開催することになります。ですので、営業は各部署ごとのチーム参加者、それからチームの評価方法、スケジュール、定期的に開催される会議の日程などを抑える必要があります。
5.上長、役員、社長のへの報告・承認スケジュールを抑える
さらに、この評価チームのトラックが、ITと経理、2つ走っています。
そして、それぞれのチームとは別にプロジェクト全体の進捗を管理するプロジェクト全体会議を行い、ITチーム、経理チームの状況の確認、並びにプロジェクト全体の進捗状況、承認などを行いします。
さらに、プロジェクト全体の会議でOKをもらった後は、いよいよ担当役員と役員会承認と言う段取りになり、そのスケジュールを抑えます。
いったん、全体プロジェクト会議で承認が得られず、差し戻しとなり、予備の評価などを考慮すると、担当役員への報告、承認スケジュール、そして役員会のスケジュールとの関係は上記のようになります。
法人営業は、商談を行う際に顧客のプロジェクトの状況を常に頭に入れ、いま、どのような状況なのかを理解して、お客と会話をすることが重要です。
そうすることで、お客は安心してあなたに様々な情報を共有してくれますし、営業も単に製品を説明して、見積もりだしてと言うだけではなく、お客様と一緒に進めることができるようになるため、営業としての充実感と自信が湧いてきます。
今回は法人営業の意思決定プロセスについてその概要を説明をしました。
意思決定プロセスを理解して営業活動を行っているのと、そうじゃ無い場合、成約率が全く異なるとと言うことの意味を理解してもらえたら幸いです。
それでは、新しい人生を切り拓くために、一緒に勇気をもって一歩踏み出しましょう!