この記事では、
「売れている営業はどんな初回訪問の仕方をしているんだろう、売れている営業はどんどん見込み客を作っている、僕は見込み客が全然増えない、どうしよう。」
そんなふうに思っている法人営業担当者に向けた記事です。
2. 法人営業の初回訪問、準備その2:質問項目
3. 成績が悪い法人営業担当が初回訪問で陥りやすいポイント
4. 成功する法人営業の初回訪問例
5. 成果がでる法人営業の初回訪問のまとめ
外資系の大手IT企業を含め、法人営業に20年以上携わり、高いを成果を上げてきた私が思う成果がでる初回訪問の方法をお教えしましょう。
初回訪問のポイントは、案件の有る無しを見極める、つまりクオリファイすることです。そのための進め方を説明します。
1. 法人営業の初回訪問、準備その1:調査
初回訪問する前の準備をどれくらいやっていますか?
私は訪問前、お客様のホームページをまず見ます。そして、
- 製品
- 会社概要
- 過去の業績(売上、営業利益)
- 製品別、地域別の売上
- 有価証券報告書
- 株主総会で使われる会社説明資料
- ニュースリリースの人事情報
- さらに、社長、役員などのウェブ上のコメント
などに、ざぁーっと目を通します。
そうすることで、お客様のビジネス概要、それからお客様の課題などを何となく理解します。
ここまでが訪問前の準備、調査です。
2. 法人営業の初回訪問、準備その2:質問項目
そして、ここからがいよいよ訪問に向けて、一番大切な準備に入ります。
それは、自社製品で解決可能なお客様の課題を発見・確認するための質問項目の作成です。
例えば、高機能のプリンターを販売しているとしましょう。1分辺りの印刷枚数が多く、速さが売り物です。また、スキャン機能、カラー印刷、ソート機能、ネットワーク接続機能など、ほとんどの機能が詰まっています。
私が考える質問項目は次のようなものです。
- プリンターは、ネットワークに繋がっていて、全員で使用できますか?
- 何人位の人がプリンターを使用していますか?
- 印刷待ち時間などが発生していませんか?
- 利用用途が多いのは、なんでしょうか?
- 白黒、カラー印刷、どちらが多いでしょうか?
- 丁合印刷を使用する人も多いですか?
- スキャン機能は使われますか?
- スキャンした情報は、どのように担当者に提供されますか?
- 故障して使えなくなるようなことはありますか?
- 故障した場合、すぐにサービス担当がきますか?
- トナー交換するときに、必要なトナーが無いというようなことはありますか?
- リース期間は何年間で、いつ終了するかお分かりですか?
- 現在のリース料はいくらかわかりますか?
- リース終了後に、新機種に変更する可能性はありますか?
- もし、今よりもリース料、メンテナンス料含め、コスト削減が可能な提案ができる場合、ご興味を持っていただけますか?
- プリンターの購入は、どなたの決済で行われるのでしょうか?
- 現在プリンター入れ替えの検討などしていますでしょうか?
- もし、検討している場合、当社以外にどこのメーカーが対象になりますか?
- リース購入する場合、どなたに相談しますか?
- もし、今年リース購入しなかった場合、どのような業務に影響はありますか?
どうでしょうか?
私はプリンターの法人営業は実際にはしたことはありませんが、私なら上記のような質問項目を考えると思います。
3. 成績が悪い法人営業担当が初回訪問で陥りやすいポイント
成績があがらない法人営業担当者が陥りやすいポイントとして、製品説明が中心になることが挙げられます。
初回訪問時間は通常、約1時間です。その1時間のほとんどを商品説明で使うケースが多いのではないでしょうか?
少しできる営業では、あらかじめ準備してきた顧客向けのプランの説明などを行うこともあるかと思います。
しかし、ここにも大きな問題があります。
何かと言うと、お客様の情報をつかんでいないということです。一方的に説明、つまり情報を提供して、一番大切なお客様の情報を聞けていないんです。
これ良くあります。
これでは、せっかく初めての訪問の機会を頂いたにも関わらず、2回目の訪問に繋がる確率はかなり低くなってしまいます。
4. 成功する法人営業の初回訪問例
では、成功する法人営業の初回訪問は、どのようにしているかと言いますと、クオリファイ(案件があるかどうかを見極める)に徹するということです。
つまり、どうするかと言うと、製品説明はほどほどにして、お客様の話に全神経を集中して、じっくりお客様の現状を確認し、課題をあぶり出し、そしてそれを今解決する必要があるのか、その予定があるのか、予算があるのかなど、話を聞くことです。
なので、初回訪問の時間配分は、
- 初回訪問のお礼
- 先方の会社の何かを褒める
- 自己紹介、会社紹介
- 簡単な製品概要
ここまでを30分程度以内で済ませます。
そしてここから、先に説明をした質問項目を使った質問タイムになります。ここでじっくり質問することで、お客様の現状、課題、今後の予定などを探り出し、そしてその課題が自社製品で解決可能なのかを理解します。
私がよくやったのは、質問項目を印刷して、お客様にもお渡し、その項目についてお答えいただく方法です。
具体的には、次の30分、以下のような進め方をします。
- 質問項目に沿って質問をする
- お答え頂いた中で、課題、つまり解決が必要なポイントを確認する
- 次回訪問で、その課題に対する更なる質問、
もしくは提案をする機会を頂くこと合意する
初回訪問の商談が終わった時、自分とお客様の話をしている時間の割合が自分:お客様=30%:70%程度になっていれば正解です。
しかし、一般的には、逆の割合になっているケースがほとんどで、初回訪問でお客様を理解できず、且つ、次回訪問の期待値をあげることができないことから、2回目のアポを取ろうと電話をしても、繋がらない可能性が高くなってしまいます。
もちろん、この質問をしても、何も困っていることが出てこない場合もあります。その時は、そのお客様にはニーズが無いものと判断し、素早くミーティングのお礼を言って、帰るのが良いでしょう。
プリンターの話に戻りますが、例えば、プリンターが古い、印刷スピードは問題ないが、スキャン機能が古く、ネットワークで担当者に配信できないのことが大きな課題になっていることがわかったとします。
もし、こうした課題が分かれば、後は現在の契約残存期間、年間利用料などを確認できれば最適な提案ができる可能性があります。
そして、最後の5分で、「もし、スキャン機能がネットワークで繋がり、スキャン後各担当者にメールで配信され、セキュリティも担保され、さらに今よりも年間利用料が下がる提案ができるとしたら、興味ありますか?」
と、まとめの質問をします。
「はい、興味あります。」
となれば、次のように進めます。
「今期、もしくは来期の予算でそれを検討することはできますか?」
「今期は厳しいけど、今来季の予算作っているところで、来季に入れることは可能かもしれません。」
「では、次回私の上司を連れてくるので、貴社意思決定をされる上長にご挨拶をさせて頂くことは可能でしょうか?」
「はい、大丈夫ですよ」
「では、今回のお伺いしたことを踏まえた提案と、上長のご挨拶でお伺いします。よろシクお願いします。」
このような流れになれば、見込み顧客として、自分のオポチュニティ(見込み案件)として、自社の商談管理システム(CRM)に登録しても問題ないと思います。
5. 成果がでる法人営業の初回訪問のまとめ
今回は、法人営業の初回訪問のポイントを説明しました。
もう一度、まとめますと、初回訪問は製品説明の為に訪問するのでは無く、商談があるか無いかを見極める、つまりクオリファイするために訪問すると考える。
その為には、会話時間の配分を考え、お客様が困っていることをさぐり出す効果的な質問をし、できるだけお客様に話をしてもらい、お客様の悩みを理解し、そして、お客様と課題認識があっているかを確認する。
そして、それが自社製品で解決できるかどうかを考え、ある程度解決できる可能性があり、且つ、お客様にもメリットがでる可能性がある場合、お客様に提案する機会がもらえないか打診する。
そして、お客様がその提案に興味を持ち、説明を受けるようであれば、案件化の可能性は高くなります。
こうすることで、初回訪問であっても、案件の有る無しをある程度判断できます。
そして、案件化できたものをCRMに商談(オポチュニティ)として登録することで、見込み客を増やせ、営業成績をあげる前提となる糧を積み上げることにつながります。