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感染者数が少ないと言われているドイツの状況とは?

この記事では、

感染者数が少ないと言われているドイツの状況ってどうなっているんだろう

そんなふうに思っている方に向けた記事です。

ドイツ企業にも勤めていたことがあり、何度も出張でドイツを訪れていた私がドイツの今を説明させていただきます。

1.感染者数が少ないと言われているドイツの状況とは?

ドイツの感染者のは、2020年4月27日現在、158,247名、106,062名がすでに回復、6,067名が死亡となっています。欧州の中で比較的、感染の押さえ込みがうまくいっていると言われるドイツですが、感染者数は他のヨーロッパ諸国と比べてもそれなりに多い状況です。他のヨーロッパ諸国との大きな違いは死亡者数です。

国名感染者数死亡者数
ドイツ158,2476,067
フランス124,575 22,856
スペイン226,62923,190
イギリス154,03720,794
イタリア197,67526,644

ドイツの国内の状況については、日本ではほとんど取り上げらることはありませんが、以下の通り、各州満遍なく感染が広がっていることがわかります。

ドイツ国内の感染状況

出典:ZEIT Online

ただ、やはりベルリン、ミュンヘン、ハンブルグなど大都市では、感染者が多いようです。注目すべき点は、日本よりも感染が先行していたためか、回復している人数が多いことです。

都市名感染者数回復者数
ベルリン5,6444,508
ミュンヘン5,5813,858
ハンブルグ4,6363,200

また、ドイツハンブルグに本社を置く、新聞社が運営しているZEIT Onlieをのぞくと、トップページに以下のグラフがあります。ここでは、アメリカ、イタリア、ドイツ、そして日本が比較対象として入っています。日本を意識してくれているところがうれしいです。

出典:ZEIT Online

2.ドイツの国民性

ドイツは、アメリカと中国、日本に次いで世界で4番目の経済規模、ご存知の通り、高級車の生産を得意とするなど製造業が盛んな国でもあります。国民性はというと、非常に勤勉で真面目、そしてドイツにいくとわかりますが、都市も清潔で、とてもクリーンです。

ドイツ企業に勤めていた当時、ドイツ人と会話をしていて感じたこと、それは、結構職人気質な人が多いこともあって、なんとなく日本人と似ているなぁというということでした。

3.ドイツの集中治療室の状況

ドイツでは、全国の集中治療室のベッドの稼働状況を毎日報告、管理しています。ドイツ全体で集中治療室のある病院数が1,160、集中治療室が31,516床あります。これは人工10万人あたり、29.2床です。更に、24時間以内に利用可能な予備数も表示可能です。

一方日本は、おおよそ6,500床、人工10万人あたりのICUのベッド数は7.3床程度。ちなみにイタリアは、12.5床です。日本はかなり少ないです。

従って、ドイツでは、コロナウイルスの重篤な感染者をかなりの確率でICUで治療できます。この部分イタリアとの大きな違いで、結果的に死者数の違いにも現れています。

また、コロナウィルスの治療に関する3つのカテゴリーも定義されています。Low care, High care, そしてECMOです。

  • Low Careは、ファイスマスクと酸素吸入を行う
  • High Careは、気管支にチューブを入れ酸素吸入を行う
  • そして最後はECMO、肺の損傷が進んでいる患者が対象

ドイツの集中治療の約73%が、Low Careでの治療となっています。

そして、この3つのカテゴリーについて、利用可能な場所の数、占有されている場所と数をいつでも表示ができます。

また、コロナウィルスの治療を優先させるために、急ぎではない手術を行わないようにし、病院の稼働率をキープしています。

これはすごく安心なシステムです。日本でも救急車で患者のたらい回しが発生していると聞きますので、こうしたシステムを開発し、救急隊に提供できたらすばらしいと思いました

4.感染を防ぐためのアプリと分散型アーキテクチャー

ドイツでも、2次感染を防ぐため、中国、韓国などですでに導入済みの追跡アプリの導入を検討しています。ただし、大きな違いはデータの管理方法です。そこはGDPRなど、個人情報管理が徹底しているお国柄、データを個人のスマホに保存する方向です。

そのため、分散型アーキテクチャを採用する方向で話が進んでいます。そして、GDPRに準拠し、高度なITセキュリティーも保証します。

このアプリの目的は、先にも書きましたが、感染の連鎖を可能な限り早期に特定して、それを断ち切ることです。ドイツ人の60%がアプリを使用することを目指しています。

また、このアプリを実現するために、Google, Appleと協議中です。

仕組みを簡単に説明すると、スマホ同士の接近を記録します。もし後に感染した人が発覚し、濃厚接触した可能がある場合はアプリを通じてユーザーに警告します。このアプリはスマホにインストールされ、かつBluetoothを介して他のスマホと通信します。

これはすばらしいですね、これが実現すると、外出制限が緩和されますし、2次感染も防ぐことが可能になりますね。この仕組みは中国でもすでに実現してますが、あちらはすべてセントラル管理だと思います。

今後、コロナウィルスと共存共栄しなければいけない社会では必要なテクノロジーだと考えていましたが、同時に管理社会になると嫌だなとも思っていました。

分散型アーキテクチャーで、データを個人の携帯にしか残さないというのは、安心できます。これなら私もぜひ使ってみたいと思います。

5.コロナウィルスが収束した後も在宅勤務を可能に

ドイツでも、コロナウィルスが収束した後、以前の世界には戻らないと考えています。その証拠に、秋までに労働者が在宅勤務を可能とする権利に関する法律の準備を進めていると、労働大臣のフベルトスハイルが述べています。

私も今の感染状況がいったん落ち着いて、新規感染者数が減少、そして自粛が解消された後も、私たちは一定の制約のもとで生活しなければならないと考えています。

理由は、ワクチンなどの特効薬が開発されるか、集団感染するなど、いずれかの状況にならない限り、いったん治ってきたと思っても、すぐに第2波、第3波となって私たちに襲いかかってくるからです。

ということは、私たちの働き方は変化せざるをえず在宅勤務がもっと一般的になってくることは容易に想像できます

今回は、コロナウィルスが広がる中におけるドイツの状況について説明しました。

それでは、新しい人生を切り拓くために、一緒に勇気をもって一歩踏み出しましょう!

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